御殿場 かつまたファーム

プロジェクト Farmland Relay Funding

「あなたがレジで支払うお金、ウェブで決済するお金は、あなたの生活する環境を形作っている。 あなたは消費者ではなく投資家です。 だれに・どこに・どれくらい、投資するのか。そう考えたとき、あなたのお金は本当の意味で命を持つ。」

世界は100円で変わってゆく

一つの例え話です。スーパーに2個100円の国産玉ねぎと、3個100円の中国産たまねぎが並んでいるとします。この話の切り口は、「安全性・安心感」ではありません。どちらも等しく安全であり、同じように美味しそうであると仮定します。
賢い消費者としてあなたはコストパフォーマンスに優れた中国産玉ねぎを手に取るかもしれません。
それは消費者としては賢いと言えるかもしれません。
この場ではその先のことを考えていただきましょう。
あなた、および多くの消費者が3個100円の玉ねぎを多く選択したことで、店頭では中国産玉ねぎが品薄になり、国産玉ねぎがだぶつくことになります。スーパーの仕入れ担当バイヤーは、安価な中国産玉ねぎが売れ筋であると判断し、青果市場に中国産玉ねぎを発注します。市場は市場原理に従い、中国産にやや高値を付け、品薄解消のため、中国からの輸入量を増やすよう商社に働きかけます。商社は、ビジネスとしての旨味を備えた中国産玉ねぎの大量買い付けに注力するとともに、現地ブローカーに、さらに大規模な商品収集と増産をオファーします。ブローカーからのオファーを得た中国生産者は、玉ねぎを儲かる作物と認識し増産体制に入ります。
生産者は、十分な換金作物を得て、農地を活用して生産を安定的に持続し、付加的に農地周辺環境の維持管理を継続的に行っていくことができます。
この例の影になるのは国産玉ねぎです。上記の話がすべて逆転すると考えれば、たどる道の推測は容易です。
価格的には次第に下落を始め、販売回転は停滞。生産者は農地活用の術を見失い、耕作を次第に放棄し、農地とその周辺環境は荒廃を始めます。
市場原理としては適正な反応が起きたと考えることもできます。
これは、最終購買者であるあなたを「消費者」と捉え、それ以上の理念や哲学を求めない見方です。

先進国ってこういうこと?地産地消?

少し話の舞台を変えましょう。我が国、日本。東北のリンゴ生産者が、農業先進大国の一つ、フランスを視察に訪れた際のエピソードを紹介します。
フランスは農業大国で、食料自給率120%を誇る、輸出大国でもありますが、一方では地元食材を「大地の味・テロワール」と呼び、料理人はその土地に根差した食材で産み出す一皿を「大地の料理・テロワール=キュイジーヌ」と呼び、とても地場産物を大切にするお国柄でもあります。
我が国のリンゴ生産組合が視察先にて生産者に尋ねます。
「このリンゴジュースの価格設定は類似商品にくらべて高い設定になっているように感じます。これで売れるんですか?」
フランスの生産者の回答は要約して以下の通りです。
「我々農業生産者は、農地と環境を守っている。購買者はそのコストが価格に上乗せされていることをよく理解している。だから、この価格を高いと言う意見は聞かないし、とても良く売れるんだよ。」
いかがでしょう。お分かりになるでしょうか。私たちの国にも「地産地消」などというワードはありますが、農業先進国において、生産者だけでなく、購買者も含め、「地産地消」にとどまらない。数段階深い理念と哲学があるということを。
フランスにおいては、商品そのものの価値に加えて、その商品の背景の付加的価値を加算して代金を支払う、という文化があるということです。ここで言う付加的な価値とは「環境維持コスト」ということになります。
こういうと近いところの消費が価値が高く、遠隔地産物は価値が低いように思われがちですが、フランスは農業輸出大国でもあります。魅力的な農産物・農産加工品を遠隔地、海外にも売り、外貨も力強く獲得しています。あえて言うなら「地産・地商・外商・護地」というところでしょうか。

人が暮らす都市・街ってなんだ? 生活環境って?

この文章を読んでいるあなたが、非農村、非農業地出身の都市部生活者であった場合、少し肌感覚として分かりにくいかも知れません。
あなたも暮らす都市とは何なのでしょう。街とは、集落とは、生活空間とは。
私たちが集団で暮らす環境とは、元来的には農業者が切り開き、開拓した空間を、一部、ないし大半を生活用に転用したものです。その為、よほどの大都会でない限り農業用地と隣接しています。東京都内ですら多くの農地を抱えていることを考えれば、完全に農地と分離した都会など、存在しないのかも知れませんね。
その、農業用地とその周辺。関連する中間地や用水。様々な角度から維持管理しているのが農業者なのです。
今あなたの脳裏をよぎった考えを、勝手ながら私は推測します。
「でも、それは私には関係のないことだと思う。」
そう思うあなたに私は語り掛けたい。
「私たち農業者はあなたに関係して欲しいと願っている」と。

私たちかつまたファームが所在する御殿場市はおよそ1900ヘクタール(東京ドーム換算400個分)の田畑を有する、農業地域でもあり、首都圏から近い観光資源豊かな都市でもあります。
昭和晩期以降、米価は下落を続け、お米作りを取り巻く環境は厳しいものとなりました。御殿場市もまた、稲作を主体とした農業を中心としてきた地域であるため、農地を守ってきた多くの小さな農家はなすすべを失っていきました。今、この町の農地は農家自身からも見放され、まずその一部が荒れ地へと姿を変えようとしています。
「経済的役目を終えた農地が自然に戻るのに、なにか問題があるのか」
あなたはそう思うかもしれません。しかし、見放された農地は、いわゆる豊かな自然に戻るわけではありません。
耕作放棄から1・2年で、背丈ほどの大型雑草に覆われるようになり、3・4年で、茅などイネ科の根絶が難しい植物が繁茂し始めます。5年を過ぎたあたりから灌木が混じるようになり、農耕地への復旧が相当に困難なレベルに到達します。しかし、森林に戻るわけではありません。森林とは基本的には人の手による管理を必要とするもので、苗木を植え、間伐し、下草を刈り、管理するもので、田畑作農家の手に負えるものではありません。灌木と雑草の入り乱れた、人が足を踏み入れること自体困難な荒れ地になれはてます。この種の荒れ地のリスクは以下の通り。
① 冬には雑草類は枯死・乾燥し、火災の発生源や大規模化要因になる。
② 著しい景観劣化を招き、観光都市であれば、その観光価値を低下させる。
③ 害獣の身を潜める場となり、周辺の生き残った農地にとって、更なる耕作放棄要因となる。
④ 害虫(人間にとって)の発生源となる。ハチや、アブ・ブヨ、蚊、とりわけマダニ類(ツツガムシ含む)の発生は顕著で、時に周辺生活者の生命まで脅かす原因となる。

静岡県御殿場市は、その土地に広大な東富士茅(ススキ)野原を擁します。総面積9809ヘクタール。実に東京ドーム2000個分を超える面積です。茅野原としては国内最大のもので、本州の茅葺き屋根シェアトップ、強力な観光資源、農業資材の宝庫でもありますが、地元住民は、「野焼き」と称し、この広大な茅野に火をかけます。その地元住民とは農業者のことです。2010年には野焼きに参加した若者3名の焼死という痛ましい事故もありましたが、それでも私たち農業者は毎年この茅野に火をかけます。 それは、文化、産業的宝庫でもある茅野が、同時にツツガムシ(ダニ目)の発生地でもあるからです。人が刺されると高熱を発し、死に至ることもある危険な害虫です。ツツガムシは(ツツガムシに限らず)、茅のという限定されたエリアだけに大人しく生息してくれることはありません。常にその外側へと生息環境を拡大しようとします。耕作放棄地があれば、そこが格好の新規進出エリアになる、ということです。だからこそ、私たちは命をかけて茅野を焼くし、農地を耕作放棄の荒れ地化させない努力を必死でしている、ということなのです。
私自身が小学生だった頃、通学路脇に放棄された乳牛牧草地があり、しばしば「ツツガムシ発生警報」が、校内放送で知らされ、学童はその周辺の通学ルートを避け、遠回りして帰るしかありませんでした。
人は、実は自然と容易に共存することはできません。自然はそれを許しません。
人間は、実は管理の行き届いた環境でしか、安全・安心な暮らしはできないことを、皆さんに知って欲しい、思い出してほしいと、切に願います。
国内の全ての農地が荒れ地化したとしても、すぐさま都市部の環境が害されることはないと、お考えになるかもしれませんが、前述の通り、ほとんどの都市・街は農業地帯に囲まれてます。必ず「荒れ地⇔都市」の端境のエリアができ、その土地には生活危害の圧力がかかります。人を脅かす自然に周囲を包囲される生活とは、少なくとも安心な生活圏とは言えないでしょう。
私たちが繰り返し申し上げる「環境維持」という言葉は、地球温暖化を始めとする大規模な気候変動などとは切り口の違う視点の話で、むしろ経済やインフラと同等水準の「人類の生活環境の維持」と考えていただけると丁度良いのだと思います。

私たちが向き合う困難 役割分担と投資

フランスを引き合いに出してお話をした通りですが、その環境維持には当然のごとくリスクやコストが必要なのですが、それを農業者以外の誰かが負う、という発想が、私たちの住む日本では十分に育ってきませんでした。
また、経済が成長し、人口が増加してきたこれまでの人類(ここでは日本)においては、経済的余裕と、環境管理の実作業員に余裕があった為、この問題は真剣には議論されてきませんでした。
私たち日本人は、これから人類が初めて味わう未曽有の困難に直面します。
それが「人口減」と、それに伴う「経済規模縮小」の多重現象です。
農家は市場から減産を求められ、生産物の価格は低迷。農地は使用目的を失えば荒廃化以外の術はありません。
荒廃農地に囲まれた生活環境は、住のみならず商工においても品質を著しく低下させ、人口流出圧力を増します。人口流出の水準がある分水嶺を超えると、税収ほか各種生産性とライフラインの維持コストの収支が合わなくなり、行政サービスの放棄地が発生します。こと、ここにおいて、耕作放棄地→商工業放棄地→生活放棄地の衰退の連鎖が始まります。残念ではありますが、既にそのステージ進んでしまったエリアは国内にも発生し始めています。すべての農地と農業地域が、私たちの生活を脅かす要因へと進まないためには、という話なのです。

危機感をあおるような話に傾いた感があります。それは私たちの本意ではありません。
最初に国産玉ねぎを選ぶのか、輸入玉ねぎを選ぶのか、という話をさせていただきました。
私たちが自由に差配できる金銭は無限ではありません。私が皆さんに伝えたい、考えて欲しいのは、限りのある「お金」という、あなたが行使できる力。安いか高いかという守りの姿勢で行く先を選ぶのでなく、「どうせ払うなら、このお金が活かすのはだれなの、どこなの、どれくらいなの?」
あなたの購買行動は「消費」ではなく「投資」であって欲しい。
お金は人間の備えた力の一つであり、知恵の一つだと私たちは考えています。

プロジェクトFRF     Farmland Relay Funding 農地管理継承資金調達

私たちは、私たちの住まう街と暮らしを守るため、より魅力的、美味、心に訴える農産物、農産加工品の開発と安定的な生産に注力します。
流通や飲食に関わる「事業的投資家」と、お店やウェブを通して購入してくださる「一般投資家」の皆さんから、購入代金を頂戴します。それ以外の特別な資金や補助金をいただかなくても持続的に環境管理を維持できる商品の価格設定。その代金こそが、私たち農業生産者が安心して皆さんの生活環境の維持管理に労力を割く「資金・活力」になる。
これがプロジェクトFRFの理念です。
あなたには「賢い消費者」ではなく「賢い投資家」であって欲しい。
あなたの支払う100円が、あなたが暮らす世界を形作っているのです。


プロジェクトFRFの活動概要

さて、農地と生活環境を持続的に維持していくために、産声を上げたプロジェクトFRFですが、今後の活動とその概要についてお知らせをさせていただきます。

生産者が主体となる取り組み

1:プロジェクト該当商品のブラッシュアップ。新規開発。ラインナップの増大。
 →様々な特性(排水が悪い、良過ぎる、潅水水源が不十分、獣害が頻繁など)を持った農地の荒地化に対応できる、作目ラインナップを揃えるとともに、投資家の皆様にとって魅力ある投資対象を掘り起こす。

2:活動の理念の告知
 ・荒地化問題に頭を悩ませながら、相談窓口がないことから、孤立化している地権者まで情報を届ける。
 ・情報が広く、深く浸透することで、活用・流通・販売協力者(賛同者)を拡大する。
 ・個人投資家を掘り起こし、その方々にもまた拡散を担っていただく。
 ・理念に賛同する生産団体を確保、提携することで、より大面積の高品質維持に向かう。

3:活動実績の報告
 ・耕作放棄地、および耕作放棄予備地(地権者が後継を見つけられない用地)の引き受け総面積を年次ごと報告。
 ・プロジェクトFRFの第二弾以降商品開発状況報告
 ・流通、飲食業その他事業者の、当該企画賛同・協力者様の列挙 実績の高いファンドインベスター表彰など

4:実際の安定的な生産
 ・高い品質と高い効率での生産の維持・高い品質と高い効率での生産の維持
 ・情報の収集と告知から得られる、新規救荒要請の受け入れ
 ・活動地域への柔軟な雇用(子育て者・障害者等も念頭に)の提供
 ・使用農地とその周辺、農業が関連する地域内各種用地(用水路・茅野・林野など)・設備の管理への注力


これからの農業、日本、私たちの暮らす街

先述の通り、これから私たちは未曽有の人口減の荒波がもたらす、経済規模縮小や労働力減少を体験します。農業の担い手も大幅に減少するでしょう。総務省の発表した予想で、2008年にピークを1億2千万越えで迎えた日本人人口は2050年の頃には1億を切る見通しです。ただし、人口減に関しては、すべてが想定を上回る速度で進んでいるのが現状です。12人でフィールドのディフェンスをしていた競技が、退場者により10人に減れば守備力もおのずと低下することはお分かりいただけると思います。
その時、この国土を覆う「全て」の農地が活発に利用され、持続的に維持管理され続けると考えるのは無理があるでしょう。
かなりの面積の農地は放棄され、荒地化し、道連れとなる形で商工観光及び、基本的生活そのものを放棄せざるを得ない地域がでるのは、ある程度仕方のないことだと思います。
生き残る農地と周辺生活環境。
それは投資家の厳しい目と意志によって選択されることだと考えます。

私たちには強い意志があります。
首都圏から60分。富士山や箱根を始めとする豊かな自然と観光資源。冷涼かつ清浄で、広大な農業生産環境。
私たち御殿場市周辺農業者が関与して保全維持しなければならない農地、および農業関連用地はゆうに1万ヘクタールを越えます。(含・東富士演習場茅場)荒廃させれば、富士山周辺の住環境・商工環境・観光環境としての価値は著しく低下します。
ここに住まう人達の生活と笑顔を守る。私たちが関与する大地の味(テロワール)が、その笑顔をより屈託のないものになるように。
ここを訪れる人達の記憶が、美しいものになるように。やはりこの土地の大地の味が来訪者の「再び訪れたい」という思いを強化できるように。
私たちはこの土地を守り続けます。
私たちはこの土地の「美味しい」を届け続けます。
あなたは消費者であることをやめ、投資家として私たちの活動に評価を下してください。
ともに暮らす世界を、ともに築き上げましょう。